対応抗原について 川崎病(KD)とアレルギー性紫斑病(HSP)さらにIgA腎症に関して、抗好中球細胞質抗体(ANCA)を蛍光抗体法で検討したところ、KDではIgG・IgM型ANCAが高率に認められた。HSPとIgA腎症では、前者で少数ながらIgA型ANCAが検出されたが、後者は検出されなかった。さらにANCAの対応抗原として、myeloper-oxidaseとproteinase-3を用いてELISA法で検討した時、KD、HSPおよびIgA腎症全例、IgG、IgM、及びIgA型抗体は陰性であった。 ヒト臍帯血静脈由来内皮細胞(HUVEC)に対する抗体をELISA法で検討したところ、KDでは高率にIgM型抗内皮細胞抗体(AECA)が検出された。HSPとIgA腎症では、IgA型AECAが検出される例があり、これらは、腎組織障害が高度な例であた。現在、内皮細胞膜を分離して、Western blotting法で、それぞれの疾患の対応抗原を免疫グロブリン型別に検討している。 内皮細胞障害について KD血清は、補体依存性血管内皮細胞障害が認められ、その障害度はIgM型AECA値と相関していたことから、KD血清をIgM rich分画とIgM poor分画に分けて内皮細胞障害を検討した。その結果、障害性はIgM rich分画にのみ認められ、かつその障害性はHUVECに特異的であった。KDのIgM rich分画による内皮細胞障害性は、γ-グロブリン0.1〜10mg/dlの添加によって、AECA結合能には影響する事なく、有意に抑制された。 HSPとIgA腎症では、極く少数例で、補体依存性内皮細胞障害がみられたが、前述のIgA型AECA値の間に相関は見られなかった。 HUVECを標的として、効果細胞に健康人由来好中球と末梢単核球を用いE/T比50/1で、さらに検体血清を加えた補体依存性細胞障害(ADCC)は、KD、HSPおよびIgA腎症全例検出されなかった。
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