眼皮膚型先天性白皮症は、チロシナーゼ陽性型と陰性型に分類され、後者のチロシナーゼ陰性型白皮症の病因については、当教室の富田らが、既に患者チロシナーゼ遺伝子の変異のため活性のある酵素蛋白が合成されないことを明らかにしている。日本人において、これまでに明らかにされたチロシナーゼ陰性型白皮症の病因となるチロシナーゼ遺伝子の変異は2種類である。 今回、我々はこれら2つの既知の変異と未知の変異の複合により発症していると考えられるチロシナーゼ陰性型白皮症の2症例の遺伝子解析を行った。 その結果、新たに2つの変異が見つかった。ひとつはエクソン2に一塩基の置換があり278番目のコドンCGAアルギニンが、TGA停止コドンに変化する(R278X)。もうひとつは、エクソン4に一塩基の置換があり、431番目のコドンがCCAプロリンからCTAロイシンに変化していた(P431L)。 R278Xは、ガイアナ人およびモロッコ在住ユダヤ人に存在することが、P431Lは、インドーパキスタン出身者に存在することが既に報告されている。地理的にも離れた異なった人種間で同じ変異が見つかるということは、非常に興味深い。それぞれの変異の起源が同じか否かは、今後の検討課題である。
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