1.メラノーマ患者のペプチド抗原♯707に対する反応性 (1)液性免疫 ペプチド♯707を抗原としたペプチド-ELISA法により、メラノーマ患者血清の抗体価を測定し、健常者と比較した。 メラノーマ患者20名中17名の血清が、♯707に対して有意な反応性を示した。 また抗体価はマラノーマワクチン接種後に増大しており、IgG抗体価は20名中15名、IgM抗体価は20名中14名にこの増大傾向がみられた。一方、健常者20名の血清には有意な反応性はみられなかった。以上の結果から、♯707はメラノーマ患者において液性免疫反応を誘導しうることが判明した。 (2)In vivoの細胞性免疫 ペプチド♯707を抗原とした皮内反応を用いて、メラノーマ患者の♯707に対する遅延型過敏反応を検討し、健常者の反応と比較する予定である。 この計画では♯707を人体に使用するため、国内では許可申請が困難であると考えられる。米国カリフォルニア州サンタモニカのJohn Wayne Cancer Instituteに依頼し当地での許可が得られれば施行する計画である。 2.ペプチド抗原♯707の提示におけるHLAクラスI抗原の拘束性 現在までに、HLA-A24を有する患者の抹消血単核球から、♯707を標的とする細胞傷害性T細胞を誘導することに成功した。HLA-A24は♯707の提示能を有することが判明した。
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