(目的)円形脱毛症におけるリンパ球の役割をサイトカインの発現を調べることにより明らかにする。 (材料と方法)円形脱毛症患者19名と健常人8名の末梢血単核球におけるサイトカインの発現をRT-PCR法にて検討した。チオシアン酸グアニジン法にて末梢血単核球からRNAを回収し、逆転写酵素でcDNAを合成。IL-4、IL-13、IFNγ、G3PDHの合成primerと^<32>P-CTPを用いてPCRを行い、増幅産物をPAGE後、ゲルを乾燥させ、Fuji Bastation 2000で放射活性を測定した。G3PDHの発現量で補正し、患者間および健常人と比較した。PCRに先立ち、予備実験を行い、PCRのサイクル数、RNA量による指数関数および直線的増減が確認され、半定量的に比較することができる条件を決定した。 (結果)統計学的有意差は認められなかったが、円形脱毛症患者では健常人と比べてIL-4、IL-13の発現が多く、IFNγの発現が少なかった。また、疾患の重症度別に観察すると、重症例ではIFNγ、IL-4両者の発現が強く認められることが明らかとなった。 (考察)重症例では発症にリンパ球がなんらかの形で関与していると考えられる。今回の研究ではTH1、2両者のサイトカイン発現が亢進し、本疾患がどちらかのサイトカインバランスに偏っているかわからなかった。今後は経時的に変動を見ることによりそれらを明らかにしたい。
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