本研究の成果は、臨床画像と病理組織像との対比によるものと、各種臨床画像のワークステーションを用いた画像解析の2点からなる。 1.臨床画像と病理組織像との対比 まず、高分解能CT像で見られる、小葉辺縁性陰影のスペクトラムとその病理組織学的成り立ちについて検討した。その結果従来から知られていた小葉辺縁の広義間質の異常のみでなく、その周囲の肺胞領域の異常から成り立つものがあることが明らかとなった。また汎小葉辺縁性陰影の中に残る一見正常に見える領域(spared lobule)の病理像の解析を行った。このspared lobuleは正常な領域ではなく、周囲の異常と病理学的には同一で、病変の相対的な強弱の違いによることが、明らかとなった。さらいこの現象が生じる原因として、ドレナージの違い、時相の違い、病変の量の違いがあることを明らかにした。 2.各種臨床画像のワークステーションを用いた画像解析 この分野では、まず基本的な画像フイルターであるLap lacian-Gaussian filterを胸部画像特に間質性陰影の抽出における問題点の追求を行い、病理学的に組成の異なる肺気腫と肺線維症が用いるパラメータによっては類似した所見を示すことを見い出した。また高分解能CT像で見られるスリガラス状陰影の弁別をfanctional-Brownian motion modelを用いたFractal解析により行い、線維化によるスリガラス状陰影と非線維化によるものとがある程度鑑別可能であることを示した。
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