1 骨折モデルの作成 大腿骨の横断骨折を作成し、骨折ラインのMR信号強度の変化を見ることを考えた。磁気の影響を受けないチタン材質のスタイマンピンやプレートを用いての創外固定を試みたが、いずれの方法でも骨折ラインの変化を評価するには固定具からのアーチファクトが問題になり、横断骨折での評価は困難であった。そこで、4mm大の円形の穴を脛骨に作成し、この欠損部の治癒過程を評価することにしたが、経過を追ううちに完全骨折になり、それ以上の評価はできなくなった。最終的には下顎骨に4mm大の円形の穴を開け経過を追うことにした。また、評価する部位が横断骨折よりは小さく、変化を見るには分解能の観点からMRよりCTの方が適当と考え、CTでの評価をおこなった。 2 レーザー治療の有効性評価 NZW rabbitの下顎骨に4mm大の欠損をつくり、レーザーを照射した群と照射しない群とで欠損部のサイズの縮小の程度をCTで評価した。Gallium-Alminium-Arsenide半導体レーザー(OHLASE-3D1、波長830nm、出力60mW)を欠損部より5mm離れた体表(照射面積0.02cm^2)に、欠損部作成翌日より1週間連日照射した。照射時間が30秒(エネルギー密度90J/cm^2)のものを2ペア-づづと60秒のものを2ペア-づつ(エネルギー密度180J/cm^2)おこった。欠損部作成後1週目から8週目まで毎週1回、1mm厚1mm送りのスパイラルスキャンでCT撮影し、0.5mmピッチで再構成した画像で評価した。 3 結果 30秒照射と60秒照射いずれにおいても、照射群と非照射群とでは欠損部の縮小程度に有意差は見られなかった。少なくとも今回の照射部位と照射量ではレーザーは骨折治癒の促進には有用とはいえなかった。
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