研究概要 |
放射線照射及び放射性同位元素の投与により、目的とする遺伝子を必要な時、必要な場所で発現させる方法を確立し、悪性腫瘍の遺伝子治療への応用の可能性について検討した。 I.電離放射線感受性遺伝子の作製 (1)ベクターの作製:プラスミドにEGR1プロモーター領域の-1000塩基部位のAPI CArGF Boxを含む部位をXholで切断、luciferaseの遺伝子を結合させpEGR-LUCの作製に成功した。 (2)これらのコンストラクトを有するDNAをヒト脳腫瘍由来樹立細胞株(Glioma Cell Line; LN18,LN229,LN428,LN31)にリポフェクチン法で形質導入した。この細胞にX線照射して、線量(1-20Gy)依存的にルシフェラーゼ活性が1から200倍増強することを確認した。 (3)放射性同位元素の核種の検討:ヨード^<131>Iからのβ線、テクネチウム(^<99m>Tc)やガリウム等のγ線刺激によるEGR1遺伝子のプロモーター機能のをルシフェラーゼをレポーター遺伝子として検討した。その結果^<131>Iからのβ線のみでなく、テクネチウム(^<99m>Tc)やガリウム等のγ線刺激に依ってもX線照射と同様に、遺伝子の発現を特異的に増強できることを明らかにした。このことは、テクネチウムやガリウムの化合物は特異的に癌に集積する性質(がんのイメージングに応用されている)を有する事から、癌細胞のみで特定の殺細胞遺伝子等を活性化出来ることを意味している。このことを実験動物の系で証明するべく努力中である。 尚、研究成果の一部は第1回日本遺伝子治療学会(東京)及び第54回日本癌学会総会(京都)に於て発表した。
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