研究概要 |
高親和性メラトニン受容体グループに属する未知の受容体遺伝子の一部と思われる遺伝子断片を単離することに成功した。 既に単離されているヒト,ヒツジ,アフリカツメガエルの高親和性メラトニン受容体遺伝子の配列の中で,他の受容体とは異なっている,特徴のある領域の配列を元に,約20merのオリゴヌクレオチドを作成した。このオリゴヌクレオチドをプライマーとして使用し,ラット脳から描出したmessenger RNAから合成したcDNA,及びラットのgenomic DNAを鋳型として低いannealing temperatureでPCR法を行った。annealing temperatureやオリゴヌクレオチドの組合せを変え,何種類かの異なる条件下でPCRを施行し,PCR産物をクローニングベクターpCRIIに挿入してから,competent cell ; INV αF'に導入し,プラスミドを精製して核酸配列を決定した。その核酸配列を遺伝子解析ソフトウェアーBLASTで検索したところ,高親和性メラトニン受容体Mel la, Mel lbのアミノ酸配列と40-45%の一致を示すが,未だGenBankなどに登録されていない,未知の受容体遺伝子の一部と思われる遺伝子断片が単離できたことが判明した。この遺伝子断片は,高親和性メラトニン受容体グループに属する新規の受容体遺伝子の一部と思われる。 今後は,既述した方法や他の方法を組み合わせることにより,さらに他の未知の受容体を発見する試みを続ける。また,得られた受容体遺伝子断片の全長遺伝子を単離し,培養細胞に発現させて,メラトニンと結合するかなど薬理学的性質を調べるほか,ノーザンブロット法などによりその組織分布を調べる予定である。
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