研究概要 |
我々は精神科領域におけるスポット尿を用いたデキサメサゾン抑制試験の有用性について検討を行ってきた。予備的研究として外来通院中のラピッドサイクラ-の患者にスポット尿によるデキサメサゾン抑制試験を試みたところ、ステイトマーカーとして有効である可能性を示唆する結果が得られた(Biological Psychiatry 38,128-130,1995)。 本研究では対象を感情障害に広げ従来の血中コルチゾールを用いたデキサメサゾン抑制試験と、スポット尿を用いたデキサメサゾン抑制試験を平行して行い、その感受性、特異性を検討した。今回の研究の結果はスポット尿によるDSTにおいて2日目8時、16時でのコルチゾール/クレアチニン比(C/CR)がうつ病での生物学的指標として非常に有望である可能性を示唆した。特に2日目16時のC/CRは非抑制群と抑制群のみでなく、非抑制群と健常者群でもほとんどオーバーラップを認めなかった。これらの結果より従来の血中コルチゾール測定によるDSTよりC/CRを用いた方がより感受性が高いのではないかということが示唆された(Biological Psychiatry in press,1996)。 今後の展開としては今回の方法をより多数例の患者で試みる必要があるとともに、他の精神疾患の患者においても試みることで感受性、特異性の検討を行う必要があると思われた。
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