ヨードポンプ阻害剤であるA2Nを用いアフィニティカラムを作成後、甲状腺細胞(FRTL-5)の膜分画をカラムに流し、よく洗浄後エリューションバッファーにて結合蛋白を溶出すると、分子量8万、5万、3万、等多数の蛋白が溶出された。この時点で、溶出液の組成を変化させたところ最終的に8万の蛋白を認めた。この蛋白とA2N-^<125>Iとの結合実験を次に行うと、蛋白は非常に弱い条件下でのみ結合を認めた。この差異は、放射性ヨードのラベルによる影響と考えられ非放射性のA2Nにより低濃度(10mM)にて結合は阻害された。この条件でスケールをアップを模索している間に、ラットのヨードポンプの1次構造が発表されたため急遽予定を変更し、以下の研究を進めた。1)ヒトのヨードポンプのクローニング 2)合成ヨードポンプとA2Nとの結合実験 3)ヨードポンプのmRNAレベルの制御機構 ヒトのcDNAライブラリー(クロンテック社)を、ラットヨードポンプcDNA(PCRで得た)を用いスクリーニングしたところ、64万クローンから陽性クローンを4個得た。このクローンをpBSベクターを導入し1次構造を調べるとラットとヒトでは81%のホモロジーを認めた。現在1次構造の確定および他の研究を推進中である。
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