甲状腺ホルモン受容体(TR)a2の機能解析および作用機構の解明 TRa2は、活性型TRa1と同じ遺伝子から産生されるが、スプライシングの違いにより、C端のアミノ酸配列を異にした、T3結合活性を持たないTR variantである。 TRa2は活性型TRの機能をdominant negativeに阻害することを種々の型の甲状腺ホルモンレスポンスエレメント(TRE)を用いた実験において確認し、dominant negative作用は標的遺伝子であるThyroid Response Element(TRE)の種類に関わらず認められることを確認した。また、DNA結合領域に変異を起こした変異TRa2を用いてトランスフェクション実験を行った結果このdominant negative効果は依然認められた。このことより、TRa2のdominant negative作用はDNA結合以前に蛋白-蛋白相互作用を介して発現しているものと考えられる。 また、特異的抗体を用いてTRa2が各組織において広範に発現していること、発生段階の初期から発現していることを確認した、このことは、TRa2が発生、分化誘導に何らかの重要な働きをしていることを示唆していると考えられる。その機能を解析するために、現在、外部より発現の誘導が可能なかたちでTRa2を細胞内に導入したcell lineを樹立しTRa2を発現誘導した場合の細胞の形質変化、増殖および分化誘導に及ぼす影響を観察する作業を進めている。
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