研究概要 |
1.株化腫瘍細胞に対するin vitroにおける温熱療法の効果 膵癌および胃癌の株化腫瘍細胞をwater bathを用いて種々の条件で加温した結果、trypan-blue染色およびMTT活性によるviabilityは、42℃,60minの加温条件では変化を認めなかった。NK細胞やLAK細胞のキラー活性を測定したところ、42℃,60minの加温条件下ではキラー活性の増強を認めなかった。 したがって、非特異的なキラー活性を有するNK細胞やLAK細胞では温熱の併用効果が期待できないことが判明した。 2.温熱によるapoptosisの誘導 株化腫瘍細胞を42℃,60min間加温した後、種々の時間経過で、TUNEL法とFlow cytometryによりapoptosisを測定したところ、直後と3時間後に強くapoptosisを認めた。 3.自己腫瘍細胞における温熱とCTLの併用効果 胃癌患者の手術により摘出された自己腫瘍細胞を42℃,60min間加温した後、株化腫瘍細胞においてapoptosisが誘導された温熱直後と3時間後をタイムスケジュールとし固相化CD3・Fibronectinで刺激したCTLのキラー活性を測定した効果、 温熱によるキラー活性の増強を認めた。以上より、この治療法の臨床応用に際しては、腫瘍に特異的なキラー活性をもつCTLの系でのみ温熱療法との併用効果が期待できることが判明し、その作用機序はapoptosisの関与が示唆された。
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