研究概要 |
臨床研究 【方法と結果】胃癌38例の癌部、非癌部および胃癌細胞株(KAT O III、MKN-28)におけるsIL-1ra(分泌型)、icIL-1ra(細胞内局在型)mRNAの発現をRT-PCR法を用いて解析した。免疫染色は抗IL-1ra抗体による間接酵素抗体法にて行った。RT-PCR:sIL-1ra mRNAは癌部で20/38(52.6%)、非癌部で7/38(18.4%)に発現しており、癌部での発現率が高かった(P<0.01)。KATOIIIおよびMKN-28ではsIL-1ra mRNAの発現は認めなかった。一方、icIL-1ra mRNAは癌部、非癌部、KATOIII、MKN-28全てに認めた。癌部におけるsIL-1ra mRNAの発現を基準にしてsIL-1ra(+)20例、sIL-1ra(-)18例の2群に分け、各病理学的因子との関連性を検討したところ、sIL-1ra mRNAとリンパ節転移、肝転移との間に正の相関を認めた(P<0.02)。また、リンパ管侵襲および組織学的進行度と正の相関傾向を認めた。免疫染色:sIL-1ra mRNAを発現している胃癌組織では免疫担当細胞にIL-1ra proteinが強く発現していた。【結論】sIL-1ra mRNA発現胃癌症例はリンパ節転移および肝転移を高率に伴っており、胃癌の悪性度を反映する有用な因子であると考えられた。 基礎研究 【方法と結果】PHA+PWM刺激マウス単核球よりRT-PCR法にてマウスIL-1ra cDNAを作成し,pRC/CMV vectorにHind III-XbaIにて組み込んだ.マウスLLCおよびcolon-26細胞にリポフェクチン法にてIL-1ra遺伝子を導入し、現在転移実験を進行中である.
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