研究概要 |
1)体表リンパ節に対する良悪性の鑑別診断はBモード法のみでは困難である。そこで超音波カラードプラ法によるリンパ節内血流パターンの観察を行い、血流パターンを分類し、癌転移リンパ節、悪性リンパ腫、炎症性リンパ節のそれぞれの特徴を分析した。46例に対してprospective studyを施行した結果、overall accuracyは93%であり、特に炎症性リンパ節のsensitivity,specificityはともに100%で良悪性の鑑別診断が可能であると考える。同時に施行したリンパ節内拍動流の波形分析ではResistance Indexが癌転移リンパ節と炎症性リンパ節間に有意差を認めたが診断率は低く、カラードプラ法を用いた血流パターン分類を中心に鑑別診断法が有用であった。 2)体表リンパ節の超音波カラードプラ法によるリンパ節内血流パターンを大腸癌リンパ節に応用すべく、術中超音波を施行した。カラードプラフローイメージング法(CDFI)により大腸癌症例の腫大リンパ節の転移の有無及び組織学的変化について研究した。大腸癌症例10例、29個のリンパ節に予備研究を行い、リンパ節内部の血流パターン分類を行い、32例、76個のリンパ節にprospective studyを行い、overall accuracyは94.7%であった。病理標本と対比した結果、描出された血流はリンパ節門内の血流を描出していたことが分かった。また癌転移によりリンパ節構造が変化し同様に血管走行が変化し、血管径が狭小化するこにより微細な血流を現在の超音波カラードプラ法での描出が不良である。造影剤を使用することにより血流が増強され、リンパ節内血流パターンが強調され、さらなる診断の向上がはかられると予想される。
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