研究概要 |
当大学第二外科におけるHCC手術症例の摘出組織より当大学第一病理にて樹立した肝癌細胞株やその他の肝癌細胞株のRNAを分離し、RT-PCR法とMAGE特異的プライマーを用いてMAGE-1の発現の有無を検討したところ、肝癌細胞株11例中6例と高率に発現されていた。 さらに本学第二外科にて治療中のMAGE-1陽性HCC患者末梢血リンパ球(HAK-1-PBL)を大腸菌DH5 α株に発現させたMAGE-1蛋白を抗原として用い、頻回刺激するによりMAGE-1特異的な細胞障害性Tリンパ球(CTL;Cytotoxic T Lymphocyte)(CD3 100%,CD4 100%,TCR α/β 100%)を誘導した。^<51>Cr release assay法を用いてHAK-1A/Bを含めた数種の肝癌細胞株に対するCTLの細胞障害能を検討したところ、HAK-1-PBLは自己腫瘍特異的な細胞障害能が確認された。 CTLの自己腫瘍細胞株に対する細胞障害能は予想どうり特異的に認められ、MHC拘束性にMAGE-1抗原を認識することを示唆された。しかし、明らかなMHC拘束性はなかった。この点でThierry Boonらによって報告されたメラノーマにおけるMAGE-1抗原に対するCTLの反応性と明らかに異なっていた。 腺癌においては癌細胞の膜表面に存在するムチンが癌退縮抗原としてMHC非拘束性にCTLによって認識されることが知られている(MUC-1)。今回樹立されたCTLはMUC-1と同様にMAGE-1抗原を認識することを示唆された。
|