実験の前段階として犬を用いて広背筋に大網をどのように被覆するかを検討した。最初に広背筋を胸腔内に挿入せずに行った。実験は広背筋を剥離しないものと剥離したもの両方で検討した。広背筋は神経血管茎を残して剥離しても多くは筋肉の遠位部の3分の1が虚血状態になった。また大網は腹部正中切開をおこない胸骨剣状突起下より皮下に出し左広背筋に被覆することができた。この実験で広背筋は剥離して最も虚血を生じる広背筋遠位部に大網を被覆することが最も効果的であり可能である事がわかった。さらに臨床応用を想定して広背筋を心臓に直接被覆するCardiomyoplasty(心臓骨格筋形成術)を行った後横隔膜経由で大網を広背筋の遠位端に被覆する実験を行った。この実験では左右の広背筋について行い検討した。実験の結果としては解剖学的にはCardiomyoplasty後に大網被覆は左右どちらの広背筋でも可能であった。現在大網を被覆せずに左広背筋に電極を挿入し電気的トレーニングを行う対照を作成中である。対照を修了した後大網被覆群を作成する予定である。これにより大網が広背筋を剥離することによる虚血に血流増大効果を生じるかどうかを検討する予定である。さらに大網被覆による広背筋の循環補助能の増大を見るために広背筋で骨格筋心室を作成し、大網被覆群と非被覆群で比較し検討するため現在非被覆群を3頭作成し電気的トレーニングを施している最中である。骨格筋心室も非被覆群を対照としこれを終えた後、被覆群を作成予定である。
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