Gliomaの悪性化に対してEGFRの発現が非常に関与していることはすでに証明されたことであるが、その術後生存日数や薬剤に対する耐性機能などに関しては明確な報告がされていない。今回glioblastoma 66例、anaplastic astrocytama 21例、low grade glioma 18例を利用して異常EGFRの発現と術後生存日数との関係について統計的に解析した。さらにEGFRのCDDPに対する耐性機能を調査するため正常EGFRと異常EGFRを組み込んだ培養細胞を利用してCDDPに対する耐性能を調査した。異常EGFRはglioblastomaでは47%、anaplastic astrocytomaでは33%に存在が確認された。術後生存日数は異常EGFR発現を認めるglioblastomaでは12 months、異常EGFR発現を認めなければ16 monthsと有為差は認められなかった。しかしanaplastic astrocytomaでは異常EGFR発現を認めるものでは17 months、認めないものでは52 monthsと有為差(P<0.05)が認められた。さらに異常EGFRを組み込んだ培養細胞は、異常EGFRを組み込んだ細胞に対して、CDDPに対して著明は薬剤耐性能を有していることが確認された。これら研究により異常EGFRの発現はanaplastic astrocytomaの術後生存日数を予測する上で非常に有益であること、さらにこの異常EGFRを抑制することでCDDPをより有効に使用する可能性も示唆された。
|