生体活性を有する骨セメントを用いてセメントと骨壁との間の界面における骨のリモデリング過程及びセメントの形態的変化を検討するためにα-TCP/DCPDを、成熟した日本白色家兎の大腿骨髄腔すべてにセメントを充填した。対照としてPMMA骨セメントを用いた。観察期間を. 2. 3週3. 6. 12カ月とし、それぞれ屠殺2および1週間前にテトラサイクリン(以下TC)を静脈注射しておき以下の項目について検討した。(1)SOFTEX像による観察:両者とも2週、3週では皮質骨とセメント間には間隙を認めないが、3カ月ではそれが認められるようになり、6カ月では更に増大していた。骨断画像を見ると2、3週間では骨/セメント界面には間隙は見られないが、3カ月でそれが認められるようになり6月では増大していた。(2)HE染色及びVillanueva染色を施した硬組織研磨標本による観察: 2. 3週では双方とも目立った変化は認めなかったが、3カ月になると皮質骨とセメント間に髄腔化を生じ、6カ月までその髄腔化は進んでいたが、α-TCP群では12カ月においてセメントと髄腔化した部分の間に新しい皮質骨が形成されていた。(3)蛍光顕微鏡によるTC像の観察: 2、3週モデルではほとんど二重ラベル像が出現しなかったのに対し、3カ月で著明となり、6カ月でRemodeling activityも最高値を示した。しかし長期の12カ月になると、先程の像に見られたように二重像の活発さはいくぶん低下していた。(4)IBAS-1による骨形態計測:骨皮質面積及び皮質厚さは6カ月まで減少傾向にあり12カ月ではわずかに増大していた。これに対し、髄腔化面積及び髄腔化幅は逆の傾向にあった。骨最大周囲長も6カ月が最も大きかった。 以上本年度の結果であり、引き続き骨細胞密度、ポロシテイ変化等の計測ならびに、強度試験を行う予定である。
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