研究概要 |
本年度は成熟ラット脊髄スライス標本を用いて脊髄後角第2層(膠様質ニューロン)からホールセルパッチクランプ記録を行い、後角内局所刺激で誘発されるEvoked IPSC、テトロドトキシン存在下で記録されるminiature-IPSC及び潅流投与したGABA,Glycineにより誘発される電流に対するセボフルレン(吸入麻酔薬)とmidazolam(静脈麻酔薬)の作用を検討した。 吸入麻酔薬であるセボフルレン(1〜2%)は上記のいずれにも有意な影響を示さなかった。midazolamは膠様質内の局所刺激によって誘発される単シナプス性IPSCのamplitudeを増加させた。膠様質ではGABAを伝達物質とするIPSCとGlycineを伝達物質とするIPSCが記録されるが、midazolamはこれらのうちGABA-IPSCのみを増強させることがわかった。midazolamはテトロドトキシン存在下で記録されるminiature-IPSCのfrequencyには有意な影響はなかったが、mean amplitudeを有意に増加させた。また、外から潅流投与したGABAによって生じる外向き電流を増強させた。Glycineによる外向き電流には影響しなかった。 以上の結果から、midazolamはGABAに対する膠様質細胞のシナプス後膜の感受性を増加させることにより侵害情報伝達を抑制することが示唆された。
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