研究概要 |
ネンブタール麻酔のウサギ(JWR,3.5±0.2)から、肺動脈、冠動脈、脳底動脈を摘出しリング状標本とした。酸素化された器官槽内で、顕微鏡下に2本のタングステンワイヤーを血管内腔に通し、一方のワイヤーに連結した張力トランスジューサ-により等張性張力を測定した。 各血管に適当な静止張力を負荷した後にエンドセリンで収縮させ、濃度反応曲線を得た。エンドセリンはいずれの血管系においても強力かつ持続的に収縮させることが確かめられた。 エンドセリンを投与し収縮した血管にプロスタグランジンE1を投与したがいずれの血管系でも収縮反応を抑制しなかった。脳底動脈、冠動脈におけるエンドセリンの収縮作用はカルシウムイオンチャンネル遮断薬であるニフェジピンによってほぼ完全に抑制されるが、肺動脈の収縮反応はニフェジピン抵抗性であることが明らかになった。 エンドセリンが関与すると考えられる病態のうち、クモ膜下出血後の脳血管攣縮、冠動脈攣縮、肺高血圧の病態に関与すると考えられる血管系を用いエンドセリンによる収縮反応と各種血管拡張薬による抑制を調べた。その結果、血管系による抑制反応に差があることが明らかになり、これは周術期の血管拡張薬や麻酔薬の選択の指標になることが示唆された。
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