研究概要 |
HL60を用いた予備実験において、5×10^5/ml・2mlにcamptothecin (CAM) 2μg/mlを3時間作用させた所、CAMないしTdT不存在の陰性対照では単峰性のピークを示したがCAM及びTdT添加群では2峰性のピークが認められ、フローサイトメトリーによるTdT法のアポトーシス細胞検出能が確認された。 前立腺癌の患者数が少なく臨床検体の評価が困難となり、代わりにホルモン感受性ヒト前立腺癌培養細胞株LNCaPを用いた検討を行った。5α-dihydrotestosterone (DHT) 1×10^<-10>M添加及び無添加群に5-FUを13ng/ml〜130μg/ml添加し、1、3、6、24時間及び6日間接触させMTT法で細胞増殖阻害率を測定し、更にTdT法にてFITC標識しPIにてDNA染色の上二重蛍光分析を行った。5-FUは濃度依存性および時間依存性に作用し、DHTの有無によらず上記各接触時間でのIC50は1.5×10^<-3>M、2.5×10^<-4>M、1.5×10^<-4>M、3×10^<-5>M及び3×10^<-6>Mであった。次いで5-FU1mMを24時間接触させ、直ちにないし24及び48時間培養後固定したものを測定した。各細胞生存率は、DHT添加群で93〜98%、35〜47%、17〜19%、無添加群で94〜98%、39〜79%、30〜45%で両群に差が見られず、DHTは5-FUの感受性に影響を与えないと考えられた。一方、FITC蛍光強度は24時間接触直後では対照と有意差を認めなかったが,更に24時間培養したDHT無添加群で上昇しアポトーシスの誘導が検出された。DHT添加群では不明瞭であった。48時間後では両群とも細胞の変性が見られた。DHT無添加群は、臨床的にはホルモン療法施行例に相当する。本法の針吸引生検検体への応用も可能と思われた。
|