ラットの骨形態計測による妊娠・分娩・授乳中の骨代謝動態の研究

1995 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 07771359
• 研究機関: 新潟大学
• 研究代表者: 倉林 工 新潟大学, 医学部, 助手 (80234540)
• キーワード: 骨代謝 / ラット / 骨形態計測 / 妊娠 / 分娩 / 授乳 / 産褥 / 骨密度

研究概要

200日齢のSpr ague-Dawleyラット47匹を用い、(1)非妊娠群(実験開始時)、(2)妊娠初期群(妊娠7日目)、(3)妊娠中期群(妊娠14日目)、(4)妊娠後期群(妊娠21日目)、(5)産褥4日目非授乳群、(6)産褥6日目非授乳群、(7)産褥8日目非授乳群、(8)産褥8日目授乳群の8群に分けた。各群について、(1)DualenergyX-rayabsorptiometry法による第2〜5腰椎骨密度測定、(2)蛍光2重標識後屠殺、薄切標本作製し、骨形態計測によるパラメータ解析、(3)血中骨代謝パラメーター(カルシウム、リン、アルカリフォスファターゼ、オステオカルシン)の測定を行った。
各群の腰椎骨密度(平均値±SD)は、非妊娠群(n=11)0.249±0.013 g/cm^2、妊娠初期群(n=3)0.230±0.008g/cm^2、妊娠中期群(n=2)0.254±0.001g/cm^2、妊娠後期群(n=6)0.210±0.022g/cm^2、産褥4日目非授乳群(n=7)0.215±0.013g/cm^2、産褥6日目非授乳群(n=7)0.224±0.020 g/cm^2、産褥8日目非授乳群(n=7例)0.227±0.013 g/cm^2、産褥8日目授乳群(n=4)0.213±0.030g/cm^2であった。
妊娠後期群は、非妊娠群に対して有意に骨密度が低値であり、妊娠の骨密度に対する負の影響が示唆された。産褥群はいずれも非妊娠群に対して有意に骨密度が低値であった。しかし、非授乳群では分娩後日数が経過するにつれ骨密度の増加傾向を認めたのに対し、授乳群では非授乳群に対して骨密度が低い傾向を認めた。これらより、ラットでは妊娠の経過とともに骨密度が低下し、産褥期には非授乳群では骨密度の回復を認めるものの、授乳群では骨密度が低下したままであることが示唆された。
なお、骨形態計測および血中骨代謝パラメーターについては、現在解析中である。

研究成果

• [文献書誌] T.Kurabayashi,T Yahata,A.Honda,Y.Tojo et al.: "Time course of Lipid metabolis changes in rats adminis tered gonadotropin-relensing lrormone agonist" Jpn J Fertil.Steril. 40. 319-325 (1995)
• [文献書誌] 倉林工,八幡哲郎、東條義弥、本多晃、山本泰明、田中憲一他: "閉経後の胃量減少に対する当帰芍藁散、桂枝炭茶丸の有効性の検討-閉経後婦人と卵巣摘出ラットによる検討-" 日本更年期医学会雑誌. 3. 160-168 (1995)
• [文献書誌] 東條義弥、倉林工、安田雅弘、山本泰明、八幡哲郎、本多晃他: "閉経前健常婦人の骨密度に関する検討" 日本産婦人科学会雑誌. 47. 271-276 (1995)
• [文献書誌] T.Fujimaki,T.Kurabayashi,Y.Yamamoto,H.Yasuda et al.: "Effects of progesterone on the inetabolism of cmcellono bone in young oophorectomized rats" J Otstet,Gynaecol. 22. 31-36 (1995)
• [文献書誌] M.Yasuda,T.Kurabayashi,Y.Yamamoto,T.Fujimaki,et al.: "Effect of hormone replacernent therapy or bone and lipil metabolism in women oophorectoinzel for the trertment of gyreolegic malignancy" Internatimel Journal of Gynecology & Obscetrius. 47. 151-156 (1994)
• [文献書誌] T.Kurabayashi,T.Fujimaki,M.Yasuda,Y.Yamamoto,et al.: "Time-couvse of vertebonl and femoral bone loss in nats administered gonadotrophin relensing homone agomist" Journal of Endocurology. 138. 115-125 (1993)