研究概要 |
未熟顆粒膜細胞に対するtheca int.由来のテストステロンの過剰刺激が顆粒膜細胞のアポトーシスを亢進させ、この結果生ずる卵胞閉鎖が多嚢胞卵巣の発生機序に関与している可能性が我々の検討により示唆された。そこで21日令の未熟ラットに対してDESにて顆粒膜細胞を誘発し(DES 1mg/day x 4days)、得られた未熟顆粒膜細胞に対してin vitro,in vivoにおいてテストステロンを作用させ核DNAのfragmentationについて組織切片上にて検討した。その結果,最終DES接種24時間後さらにテストステロン1mgを接種し、24時間後に摘出された卵巣顆粒膜細胞においてcontrol群において検出されなかった核DNAのfragmentationが検出された。またDES誘発未熟顆粒膜細胞たいするtestosteroneの添加実験では10^<-6>Mにて12時間後よりDNAの断片化が検出された。この2条件にて採取された顆粒膜細胞においてはtestosteroneにより新たに発現誘導あるいは発現抑制される遺伝子のうちapoptosisに関連する共通の遺伝子の動きがあると考えられる。そこでこの2条件にて採取されたラット顆粒膜細胞よりmRNAを精製し、同時にcontrolとしてin vivoよりDES最終接種24時間後のsample、in vitroよりtestosterone 10^<-6>M添加培養開始0時間sampleより得られたmRNAを用いdifferetial display PCR(D-PCR)を実施した。D-PCRのprimer pairはRNA map(Gene Hunter社)を使用した。その結果明らかにtestosteroneにより発現が抑制されたと考えられた遺伝子がprimer pair TMA/AP1にておよそband size 250dp,TMA/AP2にて200dp,600dp,TMA/AP3にて750dpにfinger print上fragmentとして認められた。またtestosteroneによるあらたな遺伝子の発現としてはTMA/AP1にて350dp,400dp,TMA/AP4にて300dpに認められた。現在これら遺伝子群をPCR産物より分離精製し、TA coning法にてクローニングし、塩基配列の決定、遺伝子の同定を進めている。
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