本研究では原発腫瘍との性質の同定を終えたヒト顎骨原発骨肉腫由来の樹立細胞株とそのヌードマウス移植後形成腫瘤におけるp53およびc-myc遺伝子に関する発現を分子生物学的手法を用い明らかにし、in vitroとin vivo環境下での遺伝子変化を比較検討した。 方法としては、あらかじめ検体材料(細胞および移植腫瘍)からグアニジン法により抽出したtotal-RNAに対し逆転写酵素を用い、それに相補的なcDNAを作成した。単離cDNAをTemplateとして種々の遺伝子に特有のcoding regionを増幅させるsenseおよびanti-senseプライマー(各20mer)を用い、PCR遺伝子増幅装置により反応を行った。合成されたフラグメントはアガロースゲル電気泳動により確認し、NIH Imageソフトにより画像解析を行った。これには、新しい手法であるQuantitative RT-PCR法(定量化RT-PCR)の原理に従い、Internal controlとしてGAPDH(Glyceraldehyde-3phosphate dehydrogenase)を用いた。各々のバンドのIntegration densityの比較をCell/Tissueで表わすとp53:3.19.c-myc:4.64で共に細胞株の状態の法が発現が高くin vivo状態においては他の癌関連遺伝子群の影響も強く受けているのではないかと推測している。 今後の研究の展開として、別にWestern blotting法による解析結果により他の癌抑制蛋白(特にcell cycleに関するRBおよびp16)の正常発現が見られており、この細胞株の癌化解明への糸口が主にp53遺伝子にあるのではないかと推測し他のcell cycle関連遺伝子も含め解析を進める予定である。
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