研究概要 |
卵巣摘出ラットの血清中で増加する骨形成因子の産生機序を明らかにする目的で、以下の実験を行った。 1)材料と方法:骨吸収の抑制剤であるbisphosphonateを卵巣摘出前に投与し、エストロゲン欠乏後の骨吸収の促進を抑制した状態で血清を採取した。これらの血清を骨芽細胞の培養系に添加して、骨形成能に対する影響を調べた。 2)結果:卵巣摘出ラットから採取した決生を添加した骨芽細胞は正常セットの血清に比較してアリカリフォスファターゼ活性、カルシュウム含量、オステオカルシンmRNAの発現が促進された。さらにこれらの血清中のIGF-Iの量を測定した結果、卵巣摘出ラットでは正常ラットにくらべて1.5倍量に増加していた。 3)考察:以上の結果から卵巣摘出ラットの血清中にはIGF-Iが増加し、エストロゲン欠乏によって増加する血清中の骨形成因子の一つとして考えられた。さらにIGF-Iは骨吸収系と直接関連のない状況下で増加することも明らかとなった。なお、これらの結果は1996年のEndocrinology (Vol. 137, 469-478)に発表した。
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