要約 Candida albicansの形態変換は古くから病原性との関係で研究されているが未だに解明されていない。我が教室では酵母形から菌糸形への形態変換のメカニズムについての解明を目的として実験を進めている。今年度は、C. albicansの菌体から形態変換誘導因子の抽出、精製を行うことに成功した。 方法 1.C. albicans JCM9061定常期の菌を大量培養で集めた。 2.寒川らの酸加熱によるペプチド抽出法を用いて、ペプチド様物質の抽出を行った。 3.抽出後、限外濾過器で分子量10000以上の物質を取り除き、更にアセトン沈殿により沈殿物を除去、Sephadex G-50を用いて脱塩を行った。 4.SP-Sephadex C-25のカラムでイオン交換を行い2M Pyridineで溶出したSPII画分をSephadex G-25にてゲル濾過を行った。 5.280nmの吸収によりモニターされた画分中、GT活性の見られる画分を集め、MONO-Q、 Superdex Peptide HR 10/30のカラムを用いてFPLCを行い、更にμ-Bondasphere C18を用いてHPLCを行い、精製を進めシングルピークを得た。 なお、画分中に有効因子存在の有無は、zinc培養を用いてgerm tube (GT)活性を調べた。 結果 C. albicansの菌体からペプチド様の形態変換誘導因子の抽出、精製を行った。HPLC出の最終的なものは、シングルピークとなり、かなりピュアなものと思われる。また、形態変換誘導因子を含んだ培地での発芽管形成率は37℃ 1時間の培養で約35%を示し、また濃度依存性であることも示唆された。
|