1.軟骨組織のペルオキシソームの機能 動物では典型的なペルオキシソームは肝臓と腎臓にだけ存在しており、これ以外の組織には肝・腎のペルオキシソームより小型であるがカタラーゼを含むマイクロペルオキシソームが存在すると言われている。本研究ではまず成長軟骨細胞におけるペルオキシソームの存在を明らかにするためにカタラーゼ活性を持つオルガネラの検索を行った。 ニワトリ関節軟骨の成長軟骨層をコラゲナーゼ処理し、軟骨細胞画分を得た後、分画遠心法によりカタラーゼ活性を持つオルガネラを単離した。このオルガネラを、しょ糖密度勾配遠心法で分画したところ、肝臓のペルオキシソームとほぼ同一の沈降密度を持つペルオキシソームが存在することが明らかとなった。ペルオキシソームに存在する唯一のトランスアミナーゼであるalanine:glyoxylate aminotransferase(AGT)の活性は、肝臓ペルオキシソームでは高かったが、成長軟骨細胞のペルオキシソームではほとんど検出されなかった。このことは、成長軟骨細胞のペルオキシソームがアミノ酸代謝、グリオキシル酸代謝に関して肝臓ペルオキシソームと異なる機能を持つことを示す。 2.成長軟骨細胞のペルオキシソームの形態・分布 ニワトリ関節軟骨の成長軟骨細胞のペルオキシソームに存在するカタラーゼと免疫学的にクロスリアクトする抗体の検索を行ったところ、抗ウシ肝臓カタラーゼ抗体が最も強力に反応した。現在、本抗体とプロテインAゴールドを用いた免疫組織学的手法により、ニワトリ成長軟骨細胞に存在するペルオキシソームの形態・分布を検討中である。従来、肝・腎にしか存在しないと言われてきた大型のペルオキシソームが成長軟骨細胞に存在するか否か興味深い。
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