研究概要 |
1.目的:マウスよりダブルポジティブ胸腺細胞を調製し、TPAによるアポトーシス誘導時のCDK活性阻害因子の発現変化をimmunoblot法により解析し,その関連を検討した。 2.結果: a.マウスのダブルポジティブ胸腺細胞ではTPAによるアポトーシス誘導時にはSdilの発現は観察されなかった。 b.同細胞では、p27/KIP1の発現が観察されたが、アポトーシス誘導とのとの相関は観察されなかった。 c.同細胞では、RBタンパク質リン酸化活性は観察されなかった。 3.考察:マウスダブルポジティブ胸腺細胞のTPAによるアポトーシス誘導において、CDK阻害因子の発現変化はアポトーシス誘導とは無関係であると考えられる。また最近、他グループにより、sdi1遺伝子欠損マウスにおいて正常な胸腺細胞の選択が行われていることが報告され、Sdi1はネガティブセレクションに何ら機能していないことが示唆された。 しかし、この研究とは別に、私はヒト白血病由来の細胞株であるHL-60がCDK阻害剤であるbutyrolactone Iによりアポトーシスを起こすことを観察している。この事実は、アポトーシス誘導とサイクリン活性の間に何らかの関連が存在する場合があることを示唆しており、今後この機構を解明するつもりである。
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