研究概要 |
B6C3Hマウスに生後3日から14日間連日石灰化阻害剤1-hydroxyethane-1, 1-diphosphonic acid (HEDP)を投与し、大腿骨骨端における石灰化軟骨から、一次海綿骨への転換の過程を組織化学的に検討した。なお同時に対照としての生食投与同腹仔マウスおよび大理石骨秒マウス(oc/oc)の所見との比較を行った。 1.HED投与群では、HED投与5日から7日にかけて骨端部軟骨細胞の配列の乱れと石灰化軟骨層の延長が特徴的に観察された。これらの所見はocマウスに類似していたが、ocマウスに特徴的な軟骨の過剰形成は見られなかった。このような変化は日時の経過とともに目立たなくなり、14日目には対照群との間に明らかな差は見られなかった。 2.von Kossa染色で、石灰化軟骨先端部では対照群同様のカルシウム沈着が認められるのに対し、近位側では明らかな低下が観察された。 3.酒石酸耐性酸性ホスファターゼ陽性破骨細胞は石灰化軟骨先端部でも多く、低石灰化が示された近位では少なかった。 4.類骨の形成は石灰化軟骨先端部に限られており、近位ではほとんど観察されなかった。その量は対照群に比べ少なかった。 以上の所見から、1)破骨細胞の出現は石灰化軟骨における石灰化の程度と相関しており、2)石灰化の阻害により破骨細胞の出現が遅延したため、石灰化軟骨層の延長が生じたものと推測される。
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