本研究では活性酸素・フリーラジカルの細胞毒性を利用して、感染根管および化膿性炎病巣下から検出されるStaphylococcus aureus(S. aureus: ATCC 13709 and ATCC 12598)に対する殺菌効果(CFUの算定)を検討し、以下のことが明らかになった。 1.活性酸素・フリーラジカルの発生系は本研究室で開発したCuCl_2-H_2O_2系を用いた。これまでの研究で本系からはヒドロキシラジカル(・OH)が両薬剤の濃度に依存して発生することが明らかになっている。・OHは活性酸素種の中でも特に細胞毒性が高い活性酸素・フリーラジカルである。 2.CuCl_2による殺菌:両株ともに40μMで90%以上の殺菌効果が認められ、濃度依存的に殺菌効果は増強した。 3.H_2O_2による殺菌:両株ともに125mMで90%以上の殺菌効果が認められ、500mMでぼぼ100%の殺菌効果が認められた。 4.CuCl_2-H_2O_2系による殺菌:125mM H_2O_2、40μM CuCl_2の混合系では、単独で用いたときと比べて約100倍の殺菌効果が得られた。 5.・OH消去剤が殺菌効果に及ぼす影響:・OH消去剤のEPC-K1(千寿製薬株式会社)を反応系に添加すると、EPC-K1の濃度に依存して殺菌効果は抑制された。 現在は殺菌された各細胞のGenomic DNAを抽出し、その解析を進めているところである。尚、この研究成果は1996 International Association of Dental Research(San Francisco)にて報告される。
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