コアレジンの弾性率が、支台歯歯根に及ぼす力学的影響について有限要素解析を行った。コンポジットレジンの強度、弾性率を求めた松川、山田らのデータを回帰することにより5年後の弾性率を360-400kg/mm^2と推定した。下顎下臼歯をモデルとした有限要素モデルを作成し、垂直加重、斜め加重を負荷し、レジンコアの弾性率が300、600kg/mm^2、キャストコアの弾性率が8000kg/mm^2の場合と比較した。レジンコア(300kg/mm^2)とステンレススティール・ダウエル(20000kg/mm^2)を用いた場合とキャストコアを用いた場合とを比較すると、垂直加重では、ステンレスダウエル及び隣接セメント層、歯根象牙質に高い応力を認めた。築造体周辺について見ると冠辺縁は、レジンコアはキャストコアの3倍の応力値であり、この傾向はレジンの弾性率が低くなればなるほど、また斜め加重で著名であった。これらの結果より、冠辺縁のコアレジンの接着力という点が大きな問題を含むことが示唆された。また、牛歯を用いた歪測定を行い、歯冠辺縁部歯根部に1mm長歪ゲージを貼り、リン酸亜鉛セメント装着後に垂直加重、水平加重を加えた状態の歪測定も同時に行ったが、データが少く有意差は今回出なかった。解析、実験ともに今回は、staticであったが、MC.Huysmansらによるとレジンコアは疲労試験は静的試験とは明らかに異なる挙動を示し、これはレジンが弾塑性挙動を示すことが原因と考えられる。レジンコアの弾塑性解析中であるが、レジンは他の材料に比較して温度の影響を強く受けるための口腔内温度(36°C)でのレジンの挙動(降伏点、加工硬化係数など)が必要であり現在測定中である。
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