研究概要 |
咬合器上での咬頭嵌合位の再現性から、咬合記録材料の精度を検討することを目的とし、咬頭嵌合位の安定したクラウン症例と、模型上では咬頭嵌合位が不安定となるブリッジ症例の2種類の石膏歯列模型を測定用模型とし、採得された咬合記録(付加型シリコーン・ラバー印象材のEXABITE, PRESIDENT JET BITE、ポリエーテル・ラバー印象材のRAMITEC、印象用石膏のXantano、酸化亜鉛ユ-ジノールのIMPRESSION PASTE、硬石膏のNEW PLASTONE)を同一模型に戻したとの左右臼歯部、前歯部における、上顎歯列模型の浮き上がり量を咬頭嵌合位の再現性を示す指標として検討した。また、使用した咬合記録材料のうち弾性材料については、採得範囲を支台歯のみの他に1/3顎に広げた場合の影響についても検討し、以下の結論を得た。 1.歯列模型の浮き上がり量は、クラウン症例、ブリッジ症例のいずれにおいても支台歯側臼歯部と前歯部で大きく、反対側臼歯部では小さかった。このことから、クラウンおよびブリッジ症例について上顎歯列模型が反対側臼歯部を支点として傾いていることが推察された。 2.支台歯のみの咬合記録では、すべての咬合記録材料について、クラウン症例よりもブリッジ症例の方が浮き上がり量は大きくなった。 3.弾性材料は非弾性材料に比べ浮き上がり量が小さく、咬頭嵌合位の再現性に優れていた。 4.弾性材料の中でも、付加型シリコーン・ラバー印象材による咬合記録材料が最も咬頭嵌合位の再現性に優れていた。また、記録範囲はできるだけ小さい方が好ましいことが示唆された。
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