最近の研究結果より腫瘍由来の熱ショック蛋白質(hsp)でマウスを免疫しておくと、その腫瘍特異的に拒絶反応を引き起こすこと(Tumor Rejection Antigen活性)が明らかにされた。そこでわれわれはC3Hマウス由来のSCCVII細胞を用いて特異的活動免疫を調べた。 1. SCCVII細胞におけるhspの合成 44 ゚Cで30分加温したSCCVII細胞をSDS sumple bufferに溶解後一次元電気泳動し非加温の細胞と比較しhspの発現を調べた。さらに抗hsp70抗体と抗hsp40抗体を用いてウエスタンブロット法にて加温によりhsc70(p73)の発現が増加すること、hsp70ならびにhsp40が発現することを確認した。 2. SCCVII細胞におけるTRA活性発現 (1) 抗癌剤(MMC)で処理し腫瘍活性を消失させたSCCVII細胞10^7個を直接(A群)または加温後(B群)にマウス背部皮下に免疫し、一週間後にマウス大腿部に未処理のSCCVII細胞10^5個を移植し、腫瘍の発育を観察した。両群とも免疫されていないマウス(コントロール群)との比較では腫瘍の増殖抑制効果が認められたが、両群間の差は認められなかった。 (2) SCCVII細胞10^7個をを直接(C群)または加温後に(D群)ソニケーターで破砕した後マウス背部皮下に免疫し、一週間後にマウス大腿部に未処理のSCCVII細胞10^<5個>を移植し、腫瘍の発育を観察した。両群とも免疫されていないマウス(コントロール群)との比較では腫瘍の増殖抑制効果が認められたが、両群間の差は認められなかった。以上の結果から、現時点においては熱処理によりhspを増加させてもTRA活性の増加は認められないことがわかった。今後免疫する細胞の個数や処理方法を変えて、実験を継続する予定である。
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