混合焼成比率が60%のDiopside混合焼成型アパタイトは、物理的強度が増大し(アパタイトの約2.5倍)、生体親和性にも優れた強化型のアパタイトであることはすでに報告済みである(第47回日本口腔科学会総会1993年5月、第15回日本バイオマテリアル学会1993年10月)。この強化型のアパタイトとHydroxyapatite、Diopsideをφ0.2mm〜0.6mmの顆粒状に調製し、poreサイズ0.45μm、厚さ150μmのMillipore filterを用いた外径14mm、内径10mm、厚さ2mmのDiffusion chamber内に一定量の骨原性細胞株、特にアルカリフォスファターゼ活性および細胞増殖率が高い骨芽細胞様細胞KUSA細胞とともに封入した。それらを1%ペントバルビタール0.5mg/kgの耳静脈注射による全身麻酔下で成熟家兎腹腔内に重なり合わないように自家移植し、4週間後に摘出した。摘出後直ちに10%ホルマリン溶液で1週間固定後、10%蟻酸にて1週間脱灰した。その後、Diffusion chamberよりMillipore filter部をメスでくり抜き、パラフィンに包埋し薄切して、ヘマトキシリンエオジン染色およびトルイジンブルーにて染色を施し、作成された標本から硬組織の形成状態を光学顕微鏡にて観察し、骨芽細胞様細胞に対する強化型アパタイトの親和性について比較検討を行った。その結果、標本ごとにややばらつきは見られるものの60%のDiopside混合焼成型アパタイトはHydroxyapatiteとほぼ同程度の骨形成能を示し、それらはいずれもDiopsideの場合よりも骨形成量は多かった。これにより60%のDiopsideウィスカ-析出型アパタイトは生体活性型といわれるHydroxyapatiteと同程度の生体親和性を持つと推測され、強化型アパタイトとして十分臨床応用可能であることが示唆された。
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