Interlleukin-6(IL-6)はmulti-functional cytokineとして、炎症や免疫応答において重要な役割を担っている。また、培養骨髄細胞にIL-6を作用させると破骨細胞の形成促進が報告されたことから、骨吸収因子としても注目されている。一方、歯根膜は歯牙と歯槽骨の間に存在し、歯牙の維持に重要である。歯根膜はheterogenousな細胞で構成されているといわれており、表現型の異なる亜群が混在すると考えられている。本申請では、ヒト歯根膜由来細胞からclonalな細胞を樹立し、口腔内病原性細菌として注目されているCampylobacter rectus(C. r. )のLPSを作用させ、IL-6 産生量に差があるかを検討した。〈方法〉健全な第1小臼歯から歯根膜を採取し、out growth法にて初代培養を行った。得られた歯根膜細胞を1 wellあたり0.5cellとなるように384well plate2枚に蒔き、1 wellあたり1個の細胞を増殖、継代培養を行った。増殖したclonal歯根膜細胞を24well plateに蒔き、confluence後C. r. LPS 5μg/mlを24時間作用させ、clonal歯根膜細胞の培養上清中のIL-6量をHYCYTE社製HUMAN IL-6 ELISA kitを用いて測定した。〈結果及び考察〉768wellのうち、15wellについて細胞の増殖が認められた。これらclonal細胞は線維芽細胞様、骨芽細胞様細胞の形態を示した。15cloneのうち実験可能なまで増殖したものは4 cloneで、いずれも線維芽細胞様であった。4 cloneのIL-6産生量は、LPSを作用させない系では1.1-1.5μg/10^6cellsと少量のIL-6を産生していた。LPSを作用させた系では2.9、3.2、6.2、15.9μg/10_6cellsで、LPS刺激によるIL-6産生量の上昇には4 clone間で差があることが認められた。以上の結果から、歯根膜由来細胞はLPS刺激によるIL-6産生上昇に違いがある細胞が存在することが判明した。しかしclone化した細胞は増殖能の低下が著しく、今後、多彩な実験を行うためにはSV40等による形質転換を行い、増殖能を高めることが必要であると考えている。
|