研究概要 |
雄性ウイスターラットを使用し、三叉神経再生とノルアドレナリンとの関連性を研究した。ラット三叉神経第II枝の眼窩下神経を眼窩下孔付近から露出後、末梢側の神経を摘出、縫合し、神経再生までを追った。ラット一日の餌(粉末)の摂取量を30gとしL-threo-DOPS・30mgを餌に混入し与えた。同手術を施行し餌のみを投与したものを対照群とした。DOPSの投与群を7日間,10日間,20日間の飼育の後,末梢の神経支配領域を含め眼窩下孔までの神経を摘出しそれぞれを,透過型電子顕微鏡用・走査型電子顕微鏡用に切片を作製し比較を行った。しかし,両群における有意な差は見られなかった。理由として考えられるのは手術における侵襲が大き過ぎて微細な変化の差違が把握できなかった事と,比較部位が電子顕微鏡の範囲を大きく越え,全体の正確な差を図れなかった事にあると思われた。そこで,末梢から中枢側(脳)までを染色できるWGA-HRP法を大阪バイオサイエンス研究所にて指導受講し実習したところ脊髄路核を経て中枢三叉神経路までが染色(TMB法)で確認でき得た。そこで今後は,手術侵襲をレーザー照射あるいは切断等の小さなものとし,また末梢の昇圧効果を拮抗するためにBBBを通過しないとされている脱炭酸酵素阻害剤の併用も考慮する。神経再生の比較は末梢からのWGA-HRPの染色された線維量を工学顕微鏡で比較し,またその切片より戻し染色を行い,透過型電顕用に切片を作製し直し,対照群との形態的比較を行う研究を今後も継続して行う。
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