研究概要 |
申請者は,歯科インプラント臨床で頻繁に遭遇する幅径の少ない顎骨へのインプラント埋植にあたり、メンブレンを用いたGBR(GTR)法が充分な効果を示し、顎提形態の改善策と成りえるか否かを動物実験により検証し、また将来的にはメンブレンのオステオプロモーション解明を目的として本研究を実施した。 計画通り、実験動物はビ-グル成犬を5頭用いた。人口歯根には、実績とシステム化された術式により埋植が容易なオステオインテグレーションインプラント(IMZインプラント:φ3.3mm/Length8mm)を用い、GBR法のメンブレンには、ジャパンゴアテックス(株)の「e-PTFE膜(GT4)」を用いた。ビ-グル成犬の両側下顎第1、第2前臼歯を抜去し、2か月経過後に顎提の条件の良い部位を選んでインプラントを埋植。埋植時に右側顎堤はインプラントの頬側皮質骨が欠損した状態で固定される方法。左側はインプラントの近遠心部に骨欠損が生じる様にし、いずれも8(16本)組ずつ用意した。この内、半分の4(8本)組に対しては欠損部をメンブレンを使用し被覆し、残り半分はコントロールとしてメンブレンで被覆しなかった。 埋植術後、感染により4本のインプラントの露出・脱落が見られた。残りの4か月日のX線所見は左側群のみで比較可能であったが、コントロール群に比べ歯槽頂部の骨高径が高かった。また、すべての埋植されたインプラントの周囲は概ね骨と密に接していることも観察された。実験動物を屠殺し顎骨を取り出した際のマクロ所見では、右側群に比べて左側群の方がインプラントの上縁に接する骨が豊富に観察される傾向であったが、これはメンブレンと既存の骨面との間のスペースメイキングの影響なのかも知れない。今後、染色標本等を十分に観察する予定である。
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