OCTおよびrBMPをゲル内投与したコラーゲンゲル上に唾液腺腫瘍由来細胞株であるHSG-AZA3を播種し、同条件でOsteoblasticな細胞に分化、誘導されることが報告されているラット大体骨骨髄由来の間葉細胞の系と比較検討した。 光学顕微鏡による形態学的観察では、骨髄由来のは非常に多くの細胞突起を有する星状細胞網を形成し、所々に石灰下結節が認められた。それに対し、HSG-AZA3は細胞突起を殆ど有さない敷石状で、上皮由来の細胞様の像を示すものが多くみられた。しかし、中には、石灰化を伴う結節の認められる物があった。 生化学的な分析では、骨髄由来の細胞の系は、骨芽細胞のマーカーであるALP活性、BGP量、Ca量/DNA量が2-4週にかけTime-dependentに増加し、その後ALP活性は低下しBGP量、Ca量はプラトーに到達した。それに対し、HSG-AZA3ではALP活性の上昇およびBGP量の増加を認めなかったが、Ca量/DNA量には緩やかな上昇を認めた。BSP量に関しては、Cell matrix、Mediumとも分析を試みたが、ゲルに使用したコラーゲンとの接着性が強くその分析法の開発に着手しているところである。 現段階で得られた知見では、コラーゲンゲル上で培養することによりHSG-AZA3は石灰化を起こすが、骨様組織の誘導に伴なう特有な変化、マーカーの発現を認めない。この系は、正常な骨様組織誘導のIn vitroモデルではなく、唾石等の異所性に起こる病的な石灰化のIn vitroモデルとして確立する可能性が高い。現在これらの所見については、投稿準備中である。今後は前述したBSPの分析法の確立および石灰化物のCa/P比、含有コラーゲン量等組成の分析を進め、この石灰化のメカニズムの分析を進めていきたい。
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