今回作成した教育支援システムでは健全な成人・小児各3名、傷害を有する患者20名について、患者・保護者の同意を得たうえで診療時の状態をビデオカメラで撮影し教材用の映像資料とした。これをビデオキャプチャーボードを介してデジタル化してパーソナルコンピューターに取り込みAdobe社製Premiereにて必要な部分を治療ステップ毎に編集した。パルスオキシメーターでモニターしたデータなどは記録用紙をEPSON社製イメージスキャナー(GT9000ART)でコンピューターに取り込み全身状態を評価する資料とした。これらを統合型情報伝達ソフトHyper Cardで、処置の各ステップの資料を1枚のカード上に配置し、患者毎にスタック構成した。 ハイパーカードは非線形的な構造で情報を管理できるので、利用者は単に一人の患者の治療ステップを経時的に参照するだけでなく、特定の治療ステップについて登録されているすべての患者を簡単に呼び出し、その治療ステップの動画、モニター値、注釈・解説党の資料を参照することができる。これにより利用者は、傷害を持つ患者の歯科治療の進め方、患者との対応、全身管理の問題点などについて健常者と比較しながら学習することができるようになった。 傷害を持つ患者の歯科治療には専門の知識と技術が必要であり、種々の傷害を持つ患者に対する歯科医師としての対応を理解し修得するには十分な研修が必要である。この学習支援システムを応用していくことで、今後高齢化社会をむかえるに当たり、一層増加すると思われる傷害や全身疾患を持つ患者の歯科治療に対応した教育を行っていくことができると思われる。
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