研究概要 |
1.資料は、下顎乳犬歯間と上顎乳側切歯間で左右対称的に逆被蓋が見られ、齲蝕、形成不全等の大きな実質欠損、咬頭頂を含む歯冠修復等を認めない、男女児19名(平均年齢4歳9ヶ月)から得られた上下顎歯列石膏模型および、同時期に撮影された側貌頭部X線規格写真である。 2.東京精密社製三次元座標測定器 XYZAX上に歯列模型を固定し、計測基準面、計測点を設定の上、基準平面の原点から垂直水平距離(Z・Y軸座標値)を日を変えて3回計測し、平均値を算出した。側貌頭部X線規格写真については、Ricketts分析法に従いトレースを行い、各計測点をパーソナルコンピューター,CRTディスプレイ,デジタイザーを用いて計測し、分析用プログラムにより,各計測項目の分析を行った。 3.歯列模型より得られた各計測点のZ値およびY値(座標値)の平均、標準偏差を求め、左右の有意差検定を行った。男女児とも上下顎Z軸、Y軸座標軸ともに左右差は認められなかった。側貌頭部X線規格写真より得られた各計測項目について,それぞれ平均値および標準偏差を求めた。これにより本資料は歯性反対咬合の傾向であると考えられた。歯列模型より得られた各計測点のZ値と側貌頭部X線規格写真より得られた各計測値との相関係数を算出した。 4.本研究における乳歯列反対咬合の咬合湾曲と顎顔面頭蓋形態との関連性は、歯列に関する項目では、被蓋の深さと咬合湾曲の深さに、骨格系に対する歯列の位置に関する項目では、上顎乳側切歯と多くの項目で有意な相関関係を示した。頭蓋を顔面の関係に関する項目では、有意な相関関係は上顎にのみ見られ、内部構造に関する項目では、上顎よりも下顎に多く見られた。
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