研究概要 |
実験動物にはWistar系雄性ラットを用い15gの矯正力で上顎第一臼歯を舌側へ移動した後、1%グルタールアルデハイド-1%ホルムアルデハイド混合固定液により灌流固定を行った。固定後水洗し、OCTコンパウンドに包埋して液体窒素で急速凍結を行い試料を作製した。薄切にはスーパーハードナイフを装着したクリオスタットを用い、非脱灰凍結連続切片(5nm)を川本らの方法により作製した。 歯牙移動した時の歯周組織におけるCathepsin B活性局在の検出には、まず初めに切片中のCathepsin Bの活性化のためにSH基を含むMEA(mercapto ethyl amine-HCl)でプレインキュベーション[pH6.0,37℃,10分間]し、その後Cathepsin Bの合成基質であるCBZ-Arg-Arg-MNAに賦活剤のEDTAを加えpH6.0,37℃に調整して10分間反応させた。次にアゾ色素のfast blue Bを用い活性局在部位をアゾ色素法で赤色に可視化した。 この切片をグリセリン封入し、光顕的に観察した結果圧迫側の骨吸収している破骨細胞や、変性組織を貧食している異物巨細胞には活性が認められた。 以上からlysomal enzymeの一つであるCathepsin Bは歯槽骨の改造、変性組織の消化に関与していることが考えられた。 またCollagenaseについてはこれから検討していくところである。
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