本研究の目的は、登校拒否症例をどのような視点で観察しどう判断するのか、有効な援助の手がかりを得るために、症例を下位分類してアセスメント指標、対応策や自立過程の指標を明らかにすることであった。本人の問題の要因と、集団生活における適応、家庭関係の3点からアセスメントし、看護的視点で分析し、家族コミュニケーションのあり方や社会的な要因について、さらに診断的な見方や適応障害という側面から検討を加え、個別性にあわせた看護援助のありかたについてアセスメントの指標と評価の指標をえることであった。 今年度の実施結果については、塗工拒否症例がより多様化しており、下位分類をするに足る十分な症例数が取れなかったが、個々の症例検討から、本人の問題として、摂食行動の問題、心理的な圧迫が加わると身体化しやすい脆弱性を持っていること、行動コントロールが適切に行えないこと、さらに人格障害的な部分を持っている症例のあること等が推測された。さらに、本人自身の問題だけでなく、集団への社会適応を促していくにあたって、その集団の力動も大きく関与していることが示唆された。 集団の力動がどのように個々の登校拒否症例に影響しているかという視点での研究は、あまりなされていない。看護援助は、プライマリ-ナーシングがより有効であるとされているが、プライマリ-ナーシングがなされていても、その集団全体の力動を見極める必要がある。さらにその集団力動を踏まえた上で、それぞれの看護者がどういう援助を行うことが必要なのかについては、今後更なる検討を必要とするであろう。
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