研究概要 |
アマランサス種子(Amaranthus Hypochondoriacus K-343)の溶媒抽出物のうち、抗酸化活性を有した(前年度奨励研究で報告)塩化メチレン抽出物のシリカゲルカラムクロマトグラフィー酢酸エチル30%溶出区分(Fr.C1-16)とアセトン抽出物をオープンカラム、HPLC等を組み合わせてさらに精製を行なった。Fr.C1-16はSephadex LH-20カラムでさらに精製を行ないFr.C1-16-1〜Fr.C1-16-4を得、アセトン抽出物に関しては、まずメタノール可溶部と不溶部に分け、メタノール可溶部についてSephadex LH-20を用いたカラムクロマトグラフィーを行ない8つのフラクション(Fr.A1〜A8)を得た。これらのうちFr.C1-16-2,Fr.C1-16-3とアセトン抽出物メタノール不溶部、Fr.A3,Fr.A4,Fr.A5について、リノール酸を基質とした水-アルコール系でロダン鉄法とTBA法の二種類の抗酸化活性を測定した。Fr.C1-16-2には抗酸化活性が認められたが、Fr.C1-16-3には認められず、かえって酸化を促進するような結果が得られた。また、アセトン抽出物の各フラクションに関しては、どれも基のアセトン抽出物よりも抗酸化効果は弱いという結果となった。これらについては今後さらに精製を行ない、抗酸化活性をもつ成分があるかないか、さらに活性の弱い成分どうしの相乗効果としての抗酸化効果を確認したい。活性を有するFr.C1-16-2については、さらに精製を行ないNMR等の機器分析を行なったところ2種類の物質が得られた。1つは400MHz^1H-NMRスペクトルおよびマススペクトルから脂肪酸(パルミトオレイン酸、オレイン酸)の混合物であることが示唆された。もう1つは、400MHz^1H-NMRスペクトルからベンゼン環上のプロトンとの酸素に隣接する炭素上のプロトンが観察され、さらに500MHz H-HCOSYを測定し、その構造について精査しているところである。今後も引き続き各抽出物の精製を行ない、成分とその各種生理効果について解明していく予定である。
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