研究概要 |
本研究の目的は、(1)心拍数の変動をもとに自律神経活動の連続的評価システムを確立すること、および(2)その評価システムを用いて、運動時などの自律神経活動の変化を連続的に検討することであった。 まず、コンピューターを用いて、心拍数の変動を解析し、自律神経活動を連続的に評価するプログラムを検討・作成した。分析の手順は以下の通りである。 単純移動平均法を用いて、心拍数の変動から2種類の周期的変動、すなわち呼吸に伴う変動と周期が10秒前後の変動(10秒リズム)を抽出し、それぞれについて1呼吸毎、あるいは1周期毎に変動の大きさを求める。心拍数の呼吸性変動の大きさ(Hi)から副交感神経の活動度を10秒リズムの大きさ(Lo)と呼吸性変動の大きさの比(Lo/Hi)から交感神経の活動度を評価する。 次に、健康な男子大学生10名を用いて、下半身陰圧負荷時(-20mmHgおよび-40mmHg)および運動負荷時(運動強度;25w,50wおよび100w)の心拍数の変動を測定し、上記の分析プログラムを用いて自律神経活動の変化を連続的に評価した。その結果、陰圧負荷によって平均心拍数が変化しない場合にも心拍数の変動成分には変化が認められた。これは、心拍レベルを一定に保つように、自律神経活動が巧妙に調節されていることを示すと考えられた。また、特に軽強度の運動において、運動を開始すると一時的に副交感神経活動が顕著に低下するが、その後再び活動の増大が見られることが明らかとなった。
|