研究概要 |
長期野外活動における活動プログラムを「運動(身体活動)」として捉え、その影響が身体的生理機能にどのように関与するのか明らかにし、より効果的なウエルネスキャンププログラムのスタイルを構築する上の基礎資料とすることを目的とし、55名の女子学生を対象に、4泊5日のキャンプ活動を実施し、本研究を試みた。 血中コレステロールの代謝変動について、バイオインピーダンス法による体脂肪率と個々の血清総コレステロール、中性脂肪、LDLコレステロール等の値の変化を検討した結果、有意に好ましい(適正値)変化が明らかになった。しかし、HDLコレステロールについては有意な変化はみられなかった。心拍数データによる、活動プログラムの運動負荷量推測値との関連性については、最も身体負荷量の多かった登山活動による影響が、疲労測定値からも、代謝変動に最も影響を及ぼしたプログラムであったことが推測された。今回の研究方法では、野外活動プログラムの一つ一つとの関連性を検討するまでは至らなかったが、活動プログラムを1日あたりの運動量としてとらえた場合、日常生活レベルに比して高く、適正運動量を充足するに十分な活動であったといえる。今後、身体疲労度との関連性を考慮しつつ、より検討すべき点である。 今回の調査においては、栄養学的側面からの分析は、血中脂質を検討する上で不十分であった。野外活動における食品摂取状況は、調理しやすく、手間のかからないものに集中する傾向がある。その結果、栄養学的には非常に偏りのある栄養摂取状況にあると考えられる。生体内の脂質の組成は食餌由来の影響を強く受ける。飽和脂肪酸値、n-3,n-6系不飽和脂肪酸値等の分析を更に実施し、血中コレステロール値の代謝変動を栄養学的側面からもより深く分析する必要性が認識された。
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