手話の学習支援を目的として、紙の辞書ではイラストでしか表現できなかった手の動きや形をコンピュータで制御されたディジタル動画像で表示する手話電子辞書の開発を進めである。手話電子辞書では、日本語ラベル名からの手話検索ばかりでなく、手の形態情報からの検索も重要な機能である。しかし、詳細な条件の設定は、初心者には難しく、ヒューマン・インターフェースに優れ、より効率的で使いやすい環境を構築するために、形態情報による手話の類型化と、その形態的特徴に応じて動的に変化する重み関数の検討を行った。 手話の形態情報による類型化に関しては、初心者にも十分に理解できるような分類キ-により検討を行った。分類の結果、日本の手話にもアメリカの手話について報告されている特徴が当てはまり、また、身体的な表現の制約や認識のしやすさからくる特徴も見られた。こうした形態的特徴を生かした検索メニューを構築することで、不必要な条件の設定などを取り除き、利用者への負担や設定ミスなどを減らせることができた。 動的重み関数に関しては、認識のしやすさからくる形態的特徴に応じて、認識のしやすい条件には重く、認識のしにくい条件には軽くすることで、より効率的に検索ができることがわかかった。ただし、検索処理速度などを考慮して、重みの変化は、3〜5段階程度に設定することが効率的であると考えられることもわかった。
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