研究概要 |
逐次解析法の第一人者E.J.Dudewicz(Syracuse大学,U.S.A.)との意見交換によって、新しいタイプの二段階法を開発することに成功した。さらに、九州大学との意見交換によって、この二段階法が、2つの正規母集団の平均の差について固定された大きさの推測を正確に与え、漸近有効性と漸近最適性を有することが証明された。以上の結果は、論文2に纏められた。新しいタイプの二段階法は、Stein型の二段階法で言えば、タイプIに対応するものであると見ることもできる。この意味で、Stein型のタイプIIに対応する新しい二段階法も考えられる。これについては実際に定式化し、しかも多変量データに対する二段階法に拡張することにも成功し、有効性において論文2の結果を改良することが、熊本大学との意見交換によって証明された(投稿中)。2つの多変量正規母集団の平均に関する多重比較の方法は図書1で与えた通りであるが、母集団の個数が3つ以上になると、推測に必要な標本数は著しく増加する。しかしながら、共分散行列に何らかの構造が仮定できる場合、構造に適した二段階法を開発することで、標本数の増加を抑えることが可能であることが証明された(投稿中)。この結果の多群判別問題に対する有効性は、九州大学や広島大学との意見交換によって進められている。 二段階法における正規性の仮定を、推定量の独立性に関する条件にまで緩めても、手法の本質を損なうことがないことを論文3で述べた。これによると、非正規分布への拡張として、二母数指数分布を仮定した母集団選択の問題が議論できる。論文1では、二母数指数分布の2つのパラメータに関して、同時に母集団選択を行うことを可能にする二段階法を提案し有効性を証明した。
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