研究概要 |
計算機による画像理解には,画像処理によって得られる特徴量を抽象化していくボトムアップ手法だけでは不十分であり,認識結果を画像処理にまで戻って検証・修正するトップダウン手法が不可欠である.本研究では,トップダウン手法を用いた画像認識システムを構成する上で不可欠な画像処理である,制約充足型の画像処理において,従来汎用的な記述方法でしか表現できなかった制約を,より具体的な形で表現する方法について検討した. 従来の研究では,オプティカルフロー等の1種類の特徴空間に対して,不連続境界のモデルを設定し,不連続部分の探索を行うという処理を行っていた.ここでは,オプティカルフロー等の特徴量に加えて,画像上の形状を含めた複数の特徴空間において,それぞれの不連続境界モデルを設定し,これらの制約を同時に満足する境界を推定するという手法について検討を行った. 得られた成果を以下に示す. 1.不連続部分の性質が明らかであるGNC法を2次元に拡張し,区分的に滑らかな曲面を持つ物体の距離画像に対して,ノイズ除去を行う手法を提案した. 2.距離画像に対して,距離不連続に関する制約と不連続境界の形状に関する制約を導入する手法に関して検討を行った. 3.距離画像に対するノイズ除去手法の提案とともに,その距離画像からCGで利用できる三次元形状モデルを生成する手法を提案した. 4.不連続境界を扱う正則化手法に関して,従来の研究をまとめ,それぞれの手法に対する評価を行い,将来の発展の方向に関する検討を行った.
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