膵臓癌の補助化学療法の臨床試験を対象にして、WWWを用いた症例登録・割付システムを作成して、その評価を行った。WWWを用いたシステムは、1)ハードウエア、OSに依存しないシステムを構築可能であること、2)ネットワークを介したリモートシステムの開発が容易にできること、3) GUIを用いた操作性のよいインタフェイスが容易に構築できることがすぐれた特徴であり、特にコンピュータ環境の異なる多施設診療試験では、1)の特徴は不可欠である。3施設計30名の医師による評価を受けたが、使いやすさとスピードの点で高い評価を受けることができ、また運用も安定していた。実用性と運用上の安定性が確認できたこと、またNetScape社によるSLLプロトコールを用いた暗号化HTTPが利用可能となったことから、更に乳酸菌製剤のC型肝炎の臨床試験(1施設試験)のための、包括的臨床試験管理システムを開発し、現在これを利用して、実際の臨床試験の症例登録・割付及び追跡データの収集管理を行っている。毎日、動作を管理者逐次チェックしながら行っている点でまだ実験的な要素を含んでいるが、実際の臨床試験でネットワーク上で紙を一切使わないで行う試みは世界で初めてである。 暗号を利用したHTTPプロトコールの改良については、当初独自のプロトコールを開発して、サーバーとクライアント側に実装することを予定していたが、医療機関はファイア-ウオール上のプロキシーサーバーを介して通信を行うことが通常のため、クライアントとクライアント側プロキシ-、サーバーとサーバー側プロキシ-間は通常のHTTPを用いて、両プロキシ-の間に暗号を利用したHTTPを利用する方針に変更した。現在、プロトコールの試案の作成の終了しているが、まだプログラムはまだ完成していない。
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