X線CTやMRI(核磁気共鳴画像)などの医療用断層像撮影装置により得られた人体断層像をコンピュータ・グラフィックス(CG)を利用してコンピュータ画面上で3次元像として再構築し、これを様々な形で表示することにより正確な診断や治療計画に応用する研究が活発に行われている。しかし、より安全な手術計画には同時に複数の医師による検討が必要であることが従来より指摘されていた。本研究ではインターネットに代表されるコンピュータ・ネットワークを利用することで遠隔地にあるコンピュータを接続し、離れた専門医同士が共通の仮想空間上でCG及びVRによる協調作業によって手術計画を立案するためのシステム構築のための基礎的実験を行った。 (1)医療画像転送実験 医療機関で撮影されたX線CTなどの医療画像をネットワークを介して転送する際の通信負荷及び所要時間に関する基礎的実験を行った。 (2)操作命令の転送実験 操作命令実行後、操作結果がコンピュータ画面上に表示されるまでの時間的遅れを最小にする命令セット及び画像操作方法の検討を行った。 (3)協調作業型手術シミュレーション・システムの構築 実際に複数のオペレータによる遠隔協調作業による手術計画のための諸機能の開発を行う。具体的には、手術操作に必要な切断、平行移動、回転移動、干渉判定などの諸操作を、マウス入力によりネットワーク接続された複数のコンピュータ上から実行するための基本的機能の開発を行った。
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